こんにちは!
皆さんは、自宅やオフィスのルーターの裏側を見たときに、「ポートが足りないな…」と思ったことはありませんか?
そんなときに活躍するのが「ハブ」や「スイッチ」と呼ばれるネットワーク機器です。
しかし、いざ調べてみると「L2スイッチ」「L3スイッチ」「L2プラス」「スイッチングハブ」「ハブ」と、似たような名前がたくさん出てきて頭が混乱してしまいますよね。
今回は、これら5つの機器の違いや、一歩踏み込んだ内部の技術的なメカニズムまで、ブログ形式で徹底解説します!
ネットワーク機器の基本:OSI参照モデルとは?
それぞれの機器を深く理解する前に、1つだけ重要な概念を知っておく必要があります。
それが「OSI参照モデル」です。
ネットワーク通信は、役割ごとに7つの階層(レイヤー)に分けられています。
- 第1層(物理層): 電気信号やケーブルのルール
- 第2層(データリンク層): MACアドレス(機器固有の番号)を使った通信のルール
- 第3層(ネットワーク層): IPアドレス(ネット上の住所)を使った通信のルール
今回の機器たちは、この「どの階層で、どうやってデータを処理するか」によって性能や価格がガラリと変わります。
それでは、それぞれの機器の概要と技術的な詳細を見ていきましょう!
1. ハブ(リピーターハブ)
まずは最もクラシックな機器である「ハブ(正式名称:リピーターハブ)」です。
概要
ハブは、OSI参照モデルの「第1層(物理層)」で動作する機器です。 送られてきた電気信号を、「届いたポート以外のすべてのポートにそのままコピーして流す(バカハブとも呼ばれます)」という、非常にシンプルな仕組みを持っています。
詳細・技術的特徴
- 分配の仕組み(ブロードキャスト):例えば、ポートAからポートB宛てにデータを送ると、ハブは関係のないポートCやポートDにも同じデータを送ってしまいます。データを受け取ったPC側で「自分宛てではない」と判断して破棄する仕組みです。
- 衝突(コリジョン)の発生:全員にデータをバラまくため、同時に複数のPCが通信しようとすると、電気信号が衝突(コリジョン)して通信エラーが発生します。そのため、通信効率が非常に悪いです。
- 現在の状況:技術の進歩により、現在では店舗で見かけることはほとんどありません。
🔗 参考リンク:ハブ(リピーターハブ)の仕組みと歴史(ITトレンド)
2. スイッチングハブ
ハブの「全員にバラまく」という弱点を克服したのが、この「スイッチングハブ」です。
概要
スイッチングハブは、OSI参照モデルの「第2層(データリンク層)」で動作します。 機器の「MACアドレス」を学習する機能を持っており、宛先のPCにだけピンポイントでデータを届けることができます。
詳細・技術的特徴
- MACアドレス学習機能:どのポートにどのMACアドレスの機器がつながっているかを、内部の「MACアドレステーブル」に自動で記録します。
- 通信効率の劇的な向上:宛先にだけデータを送るため、データの衝突(コリジョン)が発生しません。これにより、複数の機器が同時に高速な通信を行えるようになりました。
- 現在の状況:現在、家電量販店で「LANポートを増やす箱」として数千円で売られているものは、すべてこの「スイッチングハブ」です。
🔗 参考リンク:スイッチングハブの選び方とおすすめ製品(バッファロー公式)
3. L2スイッチ(レイヤー2スイッチ)
「スイッチングハブと何が違うの?」と一番迷いやすいのが、このL2スイッチです。
概要
結論から言うと、動作する階層(第2層)や基本的な仕組みは「スイッチングハブ」と同じです。
ただし、家庭用ではなく「企業・業務用」に特化した、高度な機能を持つスイッチングハブのことをL2スイッチと呼びます。
詳細・技術的特徴
- FDB(フォワーディングデータベース):L2スイッチの心臓部です。ポートに「フレーム(データの塊)」が届くと、送信元MACアドレスをFDBに記録(学習)します。宛先がFDBにない場合は、一度すべてのポートに流す「フラッディング」という処理を行います。
- ASICによるハードウェア処理:これらの処理をCPUではなく、「ASIC」と呼ばれる専用のハードウェアチップで行います。これにより、ポートの通信帯域の上限まで遅延なくデータを流す「ワイヤースピード(ノンブロッキング)」を実現しています。
- VLAN(仮想LAN)機能:1台のスイッチの中で、社内ネットワークを「総務用」「営業用」のように仮想的に分割し、セキュリティや独立性を高めることができます。
🔗 参考リンク:法人向けL2スイッチの基礎知識と機能(CISCO公式)
4. L2+スイッチ(レイヤー2プラス スイッチ)
「L2スイッチだと物足りないけれど、本格的なL3スイッチを導入するには予算が高すぎる…」
そんな現場の悩みを解決するために生まれたのが、この「L2+(スマートスイッチ / ライトL3スイッチとも呼ばれる)」です。
概要
物理的な中身や基本性能は「L2スイッチ」ですが、ソフトウェアの機能を拡張し、L3スイッチの機能(ルーティングなど)を「限定的」に使えるようにした機器です。
詳細・技術的特徴
- スタティックルーティング(静的ルーティング):手動で登録した固定の経路であれば、異なるVLAN間で通信(インターVLANルーティング)させることができます。
- 限定的なIP機能とCPU処理:DHCPサーバー機能や、簡単なアクセス制御(ACL)を利用できます。ただし、L3(IP)の処理は専用ハードウェアではなく主にCPU(ソフトウェア)でエミュレーションしていることが多く、負荷が高くなると速度が低下する通信上の特性があります。
5. L3スイッチ(レイヤー3スイッチ)
最後は、最も高機能で高価な「L3スイッチ」です。
概要
L3スイッチは、OSI参照モデルの「第3層(ネットワーク層)」で動作します。 L2スイッチの機能に加えて、「IPアドレス」を元に異なるネットワーク同士を接続する「ルーティング(経路制御)」の機能を持っています。
詳細・技術的特徴
- ルーターとの違い(ルーティングのハードウェア化):ルーターが「CPU(ソフトウェア)」で経路を検索してパケットを転送するのに対し、L3スイッチは「ASIC(ハードウェア)」で処理を行います。
- FIBと隣接テーブル:ルーターの持つ情報を、ハードウェアで高速検索できる形式(FIBテーブルや、次の転送先MACを記録した隣接テーブル)に変換して保持します。最初の1パケット目こそCPUで処理しますが、2パケット目以降はASICが爆速で転送(マルチレイヤスイッチング)します。
- ダイナミックルーティング:L2+とは違い、RIP、OSPF、BGPといった「ネットワークの変化に応じて自動で経路を切り替えるプロトコル」をフル機能でサポートし、すべてハードウェア処理します。
【一目でわかる】5つの機器の比較まとめ
今回ご紹介した5つの機器の違いを、技術的な要素を交えてテーブル(表)にまとめました!
| 機器名 | 動作レイヤー | 経路制御方式 | L3処理の仕組み | 主な用途・特徴 |
| ハブ | 第1層(物理層) | なし | なし | 過去の遺物。電気信号を全ポートに複製。 |
| スイッチングハブ | 第2層 | なし | なし | 家庭用。MACアドレスで宛先を絞る。 |
| L2スイッチ | 第2層 | なし | なし | 企業向け。VLAN対応、ASICによる高速処理。 |
| L2+スイッチ | 基本第2層(一部L3) | スタティック(静的)のみ | 主にソフトウェア(CPU) | 中小企業向け。低コストで簡易的なVLAN間通信。 |
| L3スイッチ | 第2・第3層 | スタティック & ダイナミック | 完全ハードウェア(ASIC) | 大企業・データセンター向け。超高速ルーティング。 |
まとめ
いかがでしたでしょうか?
- 家庭でポートを増やしたいなら「スイッチングハブ」
- 企業でVLANを組んで管理したいなら「L2スイッチ」
- 小規模なVLAN間ルーティングを低コストでやりたいなら「L2+スイッチ」
- 大規模な社内ネットワークの核(コア)を作るなら「L3スイッチ」
このように、それぞれの役割と内部の処理メカニズムを理解すると、ネットワークの構成や設計がとても見やすくなりますよ。
この記事が、皆さんのネットワーク選びや勉強の参考になれば幸いです!
最後までお読みいただきありがとうございました。